[コラム]レゴのように
- 2015/03/05
- 18:02
元素の周期律表は、メンデレーエフの時代から現在に至るまで、たびたび更新されてきたが、天然に存在する元素の数は92で変わっていない。一方、地球上には数千万種類の物質(化合物)が存在しているという。これらの物質には、地球の誕生時から存在していたもの、地球や生命の進化とともに生み出されてきたもの、さらには人類が特に産業革命以降新たに創ってきたもの、がある。
わずか百種類程度の元素から数千万種類の物質が生まれるのは驚きである。元素は原子や分子としてその特性を発揮する。まず原子同士がさまざまに結合して多様な分子を形成する。これには、水のように分子量の小さいものから、タンパク質のような分子量の非常に大きいものまであり、多種多様である。さらに、これら分子は集合して物質を形成するのである。
この原子や分子の結びつきは化学的な結合にもとづくものであるが、近年、トポロジカルな結合(機械的結合)というものが注目を浴びている。たとえば、「輪」の形をした分子が鎖のようにつながった構造(カテナンと呼ぶ)や、「輪」の中を「紐」が貫通している構造(ロタキサンと呼ぶ)があり、独特な性質を持つ。現在、急速に研究が進んでいる分野である。カテナンの場合、生物のたんぱく質の設計図といわれるDNAにも、その構造をみることができるという。また、ロタキサンの場合、「輪」にあたる分子は、「紐」にあたる分子の端から端へ非常に速く動いて振動しているが、これにより、たとえば天然ゴムのように強く柔軟な特性を持つという。そして、分子モーターや分子スイッチに応用する研究も進んでいる。
私はふと、子供たちが小さい頃に夢中で遊んでいた「レゴ」を思い出した。色や形、大きさの異なるプラスチックの小さいブロックを組み合わせて、いろいろな形のものを創るおもちゃである。数個のブロックを組み合わせただけでも、素材の組み合わせ方で実に様々な色と形の造形が現れる。根気のよい子供は、何百ものブロックをつなげ積み上げて壮大な構造を創り上げる。この創造力には感心するばかりである。このように素材となるブロックはせいぜい百種類程度だが、これを組み合わせると、それこそ無限ともいえる造形物ができあがる。まるで百種類の元素から数千万の物質が生みだされるように。
我々の宇宙は、素粒子を生み、種類としては多くない元素を生み出したが、これら元素は生成当初から、多種多様な世界を創り出す無限の能力を秘めていたのである。 (記:五等星)
わずか百種類程度の元素から数千万種類の物質が生まれるのは驚きである。元素は原子や分子としてその特性を発揮する。まず原子同士がさまざまに結合して多様な分子を形成する。これには、水のように分子量の小さいものから、タンパク質のような分子量の非常に大きいものまであり、多種多様である。さらに、これら分子は集合して物質を形成するのである。
この原子や分子の結びつきは化学的な結合にもとづくものであるが、近年、トポロジカルな結合(機械的結合)というものが注目を浴びている。たとえば、「輪」の形をした分子が鎖のようにつながった構造(カテナンと呼ぶ)や、「輪」の中を「紐」が貫通している構造(ロタキサンと呼ぶ)があり、独特な性質を持つ。現在、急速に研究が進んでいる分野である。カテナンの場合、生物のたんぱく質の設計図といわれるDNAにも、その構造をみることができるという。また、ロタキサンの場合、「輪」にあたる分子は、「紐」にあたる分子の端から端へ非常に速く動いて振動しているが、これにより、たとえば天然ゴムのように強く柔軟な特性を持つという。そして、分子モーターや分子スイッチに応用する研究も進んでいる。
私はふと、子供たちが小さい頃に夢中で遊んでいた「レゴ」を思い出した。色や形、大きさの異なるプラスチックの小さいブロックを組み合わせて、いろいろな形のものを創るおもちゃである。数個のブロックを組み合わせただけでも、素材の組み合わせ方で実に様々な色と形の造形が現れる。根気のよい子供は、何百ものブロックをつなげ積み上げて壮大な構造を創り上げる。この創造力には感心するばかりである。このように素材となるブロックはせいぜい百種類程度だが、これを組み合わせると、それこそ無限ともいえる造形物ができあがる。まるで百種類の元素から数千万の物質が生みだされるように。
我々の宇宙は、素粒子を生み、種類としては多くない元素を生み出したが、これら元素は生成当初から、多種多様な世界を創り出す無限の能力を秘めていたのである。 (記:五等星)
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